その一方で、活動が広がっていくときに起こりうる、ちょっとした思いのすれ違いも生まれてくるようになりました。
ここで改めて、協会を主宰する2名から、会員のみなさまへ、そしてこれから会員に加わってくださる皆様へ、「立体プラバン協会」の想いをお伝えしておきたいと思います。
長文ですが、最後までお付き合いいただければ幸いです。
ディレクター・波田野岳彦からのメッセージ
「プラバン.net」と「立体プラバン協会」が小さく産声を上げたのは、2021年2月8日のことです。
世界が未知の恐怖の中にあり、人が集い、話し、共に何かを行うことが強く制限されていた時でした。
外に出ず距離を置くことを強いられた、“個”であり“孤”であった日々。
あの苦しさの記憶は、6年近くを経た今、幸いなことにずいぶん遠いものになりました。
2010年代の終わり頃、日本のハンドメイド市場は“縮小傾向”にあるとされていました。
そこに再び光を当てたのは、皮肉にもあのコロナ禍でした。
独りの時間の中でも向き合える手づくりの魅力に多くの人が再会し、あるいは初めて出合い、力づけられたのです。
そして再び人と人とが集えるようになったとき、“誰かと一緒に”ものづくりを楽しめることが、どれほど愛おしくうれしいことかを、私たちは強く実感したと思います。
同時に、コミュニケーションの環境と手法はコロナ禍を機に大きく変わり、今もまた更新され続けています。
知識や技術は、かつてのような上下関係のある「伝授されるもの」から、気づきや工夫を対等に伝え合う「シェア(共有)されるもの」へとトレンドがシフトしており、オンラインやSNSといった情報ツールと相性が良い形になりました。
若い人ほど、そのスタイルで生き生きと楽しんでいる様子が見て取れます。
ハンドメイドをやっている人は、みんな“楽しい”からこそやっているはずです。
長くやってきた人たちも、楽しんで続けてきたはずです。
時代に合わせて、楽しみの伝え方、広げ方は変わっていくものです。
ハンドメイドの魅力を次の時代へ繋いでいくためには、若い世代へこの楽しさが伝わるように伝え続け、共に歩んでいける環境を整えることが欠かせません。
ちょっと早めにこの楽しさを知り、道を切り拓いてきた私たちには、その文化を温かく育み、次の世代へ手渡していく責任があると感じています。
だから、楽しみ方を「シェア」したい。
うまく行った! 行かなかった! 危険だった! 失敗した! なんてことすべて、シェアしてしまえばいい。
独りで苦しさを抱え込む必要も、ましてや他者を牽制したりする必要も、どこにもありません。
意外とみんな、同じことで苦しみ、同じことで喜んでいるんだ、ということに気がつくと思います。
気づきも、悩みも、喜びも「シェア」していくこと。
シェアされ受け取ったことから、真似び(まねび)、学び(まなび)、消化し、昇華させて、自らの一部として高めていくこと。
その循環の中でこそ、一人ひとりの個性や作品世界がより豊かに磨かれて、確立されていくのだと信じています。
「プラバン」は、「毛糸」や「レジン」と同じように、ひとつの素材に過ぎません。
「素材という切り口で人が集まって、一体何を生み出せるのか」と問われたこともあります。もちろん当時は未知の挑戦でした。けれど、活動し続けて6年あまり、「プラバンという素材」で集結した仲間たちが、それぞれが持つものをシェアして解き放つパワーと面白さの威力と魅力は、「プラバン博」などの活動を見ていただければ明らかです。
私たちがこの会を立ち上げた原点には、「知識を共有し、『楽しい』を一緒につくりながら、互いに高め合える仲間を募りたい」という強い思いがあります。
“個”や“孤”で苦しかったあの頃と、同じ思いをしないように。
“独り”ではなく“一人ひとり”の力を集めて、みんながそれぞれの“ひとつ”を輝かせていける場所でありたい。
私たちは「シェア」が持つ優しい、けれど確かな力を信じています。
既に会員の皆様へ。そしてこれから会員になってくださる皆様へ。改めて問いかけてみたいと思います。
あなたは、一緒に仲間になってくれますか。
この思いに共感していただける「プラバン好き」のあなたを、同じ仲間が今日も両手を広げて待っています。
2026年10月10日
立体プラバン協会 ディレクター
三級知的財産管理技能士(管理業務) *
波田野 岳彦
*知的財産管理技能士:自社の知的財産を適切に管理・活用して企業等に貢献できる能力を有することを証明された国家資格です。
主宰・ナナアクヤからのメッセージ
皆さま、いつも活動をご一緒いただきありがとうございます。
本日は、私たちがこの会を立ち上げた原点と、大切にしたい考え方について改めてお伝えさせてください。
プラバン.net および立体プラバン協会を立ち上げた背景には、「知識を共有して広め、『楽しい』を一緒につくりながら、互いに深め高め合える仲間を募りたい」という強い思いがあります。
私たちがあえて「協会」という名称を掲げたのは、どこかの誰かに技術や用語を独占されてビジネス化され、プラバンの持つ無限の可能性が狭められてしまうのを防ぎたかったからです。
「立体プラバン協会」という名前ではありますが、行政からの補助金や会員の皆様からの会費をいただいているわけではありません。活動にかかる経費はすべて、ナナアクヤと波田野の手弁当(完全な自己資金)で賄っています。
私たち二人も一人の個人事業主です。正直にお伝えすると、日本ホビーショーへの出展費用すら、年間を通してコツコツ働いた資金から分割払いで納めているのが現状です。ナナアクヤ一人で出展したほうが、金銭的にも運営的にも負担ははるかに軽く楽になります。
それでも皆さんと一緒に出展し続けるのは、「プラバンの文化」というものをより力強く世の中に伝えたいからです。そして何より、仲間とともに「楽しい体験を共有する」ことこそが、私たちにとって最も大切な価値だからです。現地に来られない方であっても、その「楽しい」という気持ちを共有してくださる大切な仲間だと思っています。
今回このようなメッセージを出すことにしたのには、理由があります。
当会がスタートしておかげさまで5周年を迎え、仲間である会員もたくさん増えました。ただ、それにつれて、会員が抱える会の内外でのトラブル事例も複数相談を受けるようになりました。これは会の成長に伴って起きる当然のことだと思っています。
例えばナナアクヤのことに関して言えば、本を出版してから の十数年の間に、「モチーフを真似された」「私の方が元祖だ」などの、法律に基づかない不当な主張をイヤと言うほど受けてきました。ご相談している専門家の方からも、「法律的にそれはただの言いがかりなので気にすることはない」と助言をいただいています。このようなことは、残念ながらハンドメイドの世界ではよくある出来事です。
私は、せめて自分の立ち上げる会の中では、そのような不毛な悲しみが起きないようにしたいと考えています。
当会はどこまでもフラットな集まりです。協会として誰かを特別に認可・免状授与することはありません。また、SNSや対面で作品に「いいね」と伝えるのも、仲間としての純粋な応援や称賛であり、公式なお墨付きや特別扱いを意味するものではありません。
また、少なくとも当会の会員同士においては、「誰が最初に始めたか」「自分の技法だから真似をするな」「モチーフが重なっている」といった主張や争いはしない、という方針で当初から運営してきており、今後もその考えは変わりません。
(※法律上の補足ですが、技法やレシピ、アイデアには“著作権”は発生しません。著作権が発生するのは表現された作品そのものに対してです(ただし、あまりに単純で一般的なものには著作物性が認められない場合もあります)。もちろんこれは、誰かが作った作品をそのまま丸パクリするような行為を肯定するものではなく、全く別次元のお話です。また、技法やアイデアの保護には著作権とは別の枠組みが存在します。)
当会は入会も退会も完全に自由です。私たちの「共有する」という理念にご賛同いただけない場合は、無理をして私たちと一緒に活動していただく必要はありません。それは単純に「考え方や歩みたい道の違い」だからです。
もし、当会にいることでご自身の大切にしているものが脅かされると感じてしまったり、ストレスを感じてしまったりするのであれば、それはお互いにとってとても悲しいことです。退会されたからといって、その方を悪く思ったり関係を否定したりすることは一切ありません。音楽バンドが「方向性の違い」でそれぞれの道を歩み始めるのと同じです。ご自身の信じる道を堂々と歩んでいただければと思います。
最後になりますが、私たちは単なる「仲よし会」を作りたいわけではありません。しかし、ものづくりを愛する大人が集まる場だからこそ、意見の食い違いや気に食わないことがあったからといって、無言でブロックするような悲しい対応ではなく、互いに大人のリスペクトを持った関係性でありたいと願っています。
私はこれからも変わらず、「楽しいをつくる」を全力で続けていきます。
2026年10月10日
立体プラバン協会 主宰
NanaAkua (ナナアクヤ)